森保一監督とは
森保一監督は、ワールドカップ最終予選でいい結果が出ていなかったことで解任説など、たびたび目にするようになっていました。
メディアは結果がでないことで、あまりいい記事を書かないことはよくあることですが、その場合通常なら選手からも不満が聞こえてくるものです。
しかし、この森保監督の事を選手が悪く言うことあまりはありません。
前監督のハリルホジッチ監督の時とは、大きく違います。
ハリルホジッチ監督は、自らのサッカー哲学を日本にはめ込むようにチームを作ろうとしていました。
そのため、自分の要望が通らない場合には、JFAの体制批判も頻繁に公の場で行っていました。
そんな監督だからか、選手からも不満の声が上がりだし、ロシアワールドカップ直前に解任されてしまったのです。
そういった背景から、今後の日本代表監督には、コミュニケーションがしっかりとれる日本人でという方向性になり、その監督に森保監督が、実績と人間性から選ばれたのには納得できます。
今回は、仲間内からはポイチさんと親しまれている、この森保一監督を紹介していきたいと思います。
ちなみに、ポイチと言われるようになったのかというと「森保 一」と読むところを「森 保一」と高校時代の公式記録に度々間違われたことで、同級生がポイチと言い出したことが始まりのようです。
なぜ森保監督はこんなに解任論がでるのか
本当にすごく森保監督は色々な記事で解任の記事がでていますよね。
私からすれば、なぜそこまで叩かれているかよく分からない部分があるのですが、少し考えてみました。
実際に解任論が急に出だしたのは、最終予選の初戦でオマーンに負けてしまったことが一番大きいと思います。
2次予選であれだけ圧勝していたチームが最終予選になって、格下と思われているオマーンとサウジアラビアに試合内容も悪く負けてしまったんですから、それはサッカーファンは怒りますよね。
その怒りを代弁するかのように、メディアでも大きく話題にしています。
最近は特にワールドカップにも連続出場していることもあり、日本は強いと思っている人が多い事と、海外で活躍する日本人選手が多くなったことで、アジアでは負けは許されないと思われているのかもしれません。
「キャプテン翼」でいう勝って当たり前の南葛中学が地方大会で負けてしまうような感じですかね。
それと、今までの監督と違う点は、どんなチーム作りをしたいのか分かりにくい事です。
以前の監督には、何となくですがこういうサッカーをやっていきたいという意図が分かったのですが、森保監督からは、選手の自主性に任せるようないい方をしているので、それは戦術でもなんでもないと思われても仕方がないかなと感じてしまいます。
個人的には、サンフレッチェ広島でのフォーメーションの3-6-1でやってもらいたいなと思っていますが。
そのシステムに合う選手を選んだりしてくればやっと森保カラーがでてきたと思われると思います。
それに負けている時にチームを活性化させるのに有効な手段は選手交代ですが、この選手起用と代えるタイミングが非常に悪い点も気になります。
交替カードの意図が分からないことで、監督としての手腕を疑われているのかなと思います。
森保一監督の人物像
森保監督は、とにかく人柄に定評のある人物です。
今までの外国人代表監督には威圧的な態度の人が多かったように感じますが、森保監督はしっかり選手の話を聞けて話し合いの中からベストな選択を導き出すタイプの監督です。
そして指導力が高く、選手に寄り添う兄貴的な部分も持ち合わせています。
またそれは、選手間だけではありません。
コミュニケーション能力の高さからか、サッカー協会の関係者とも良好な関係を気づいていて、スポンサー周りも率先して行っています。
森保監督からは、常に人への感謝の気持ちが伝わってきます。
これは、中学生の時のエピソードがそうさせているといいます。
森保監督が入学した中学校には、サッカー部がありませんでした。
一時は、大好きなサッカーを諦めようとした時もあったそうですが、両親が学校側とかけ合い、サッカー部を作ることになったそうです。
しかし、サッカーをやろうにもグラウンドがありませんでした。
そこで、今は駐車場になっているらしいのですが、当時雑草が覆い茂っていて、石ころばかりの場所を両親と学校の先生が草刈りと石拾いをしてくれてグラウンドを作ってくれたそうです。
この手作りのサッカー場でサッカーを続けることができたことで人への感謝の心を育んだそうです。
(手作りサッカー場の内容:30:30)
これだけ聞いているとすごく優等生のような感じがしてしまいますが、いざ試合になると篤い気持ちで選手を鼓舞する姿は現役時代を彷彿とさせます。
現役時代でも球際にガツガツいくスタイルで私は子供ながらに森保監督を応援していた時のことを今でも思い出します。
森保監督は指導力があるのに、なぜ結果がでていないのか?
まず、皆さんが一番思われているのは、本当に指導力があるのかという点だと思います。
これは、間違いなくあると思います。
理由は、森保監督が優勝させているチームがサンフレッチェ広島だという事です。
Jリーグで優勝するチームにはやはり優秀は選手、つまり代表選手多くが在籍していると思いがちです。
しかし、当時サンフレッチェ広島の優勝メンバーの中で、常に代表に選出されている選手が何人いるか知っていますか?
答えは0人です。
個々のスキルがそれほど劣っている訳ではないのですが、代表選手がいないチームで優勝させるためには、チームとしてのレベルを向上させなければ不可能だと思います。
森保監督体制になる前のペトロヴィッチ監督のサッカーは、負けていてもおもしろいと思わせてくれる攻撃サッカーでした。
その攻撃サッカーの基盤を活かしつつ、守備面での約束事を確立することで森保サンフレッチェは5年間で3度の優勝を勝ち取ることができました。
森保監督の今在籍している選手の特徴を、よく掴んでチームにフィットさせていく手腕はすばらしいと思います。
では、その指導力があるにもかかわらず、なぜこの最終予選は結果が芳しくないのかですが、これが予選の際に必ずでてくる「最終予選はまったくの別物」という部分でしょう。
最終予選にでてくる国は、やはり組織もしっかりしています。
日本はアジアでは強豪国となるので、相手も死に物狂いで戦いを挑んでくるのです。
日本も、ヨーロッパや南米の強豪国と戦う時には、守備的に入ることが多いですよね。
それと同じで、相手も人数を増やして、しっかり守備を固めて点を取られないようにしてきています。
そんな状態でたくさん点がとるのは思っている以上に難しいのです。
そんな時に、今までは得点を取る方法として有効だったのはフリーキックなのですが、元日本代表の中村俊輔選手と遠藤保仁選手のようなフリーキックの名手が今の日本代表にいないのことが、得点を取れない要因になっていると思います。
もう一つは、途中出場して流れを変えることができるジョーカーとなるような選手が不在だという点です。
現日本代表の浅野琢磨選手がサンフレッチェ広島に在籍していた時には、途中出場だけで8得点と大爆発していました。
今の日本代表には、途中から出場しても点を取ってくれるという期待感をもてる選手が残念ながらいないのが現状です。
元日本代表の中山雅史さんや岡崎慎司選手のような人が今の日本代表には必要ではないでしょうか。
そしてキレイに点を取ろうとしているように見えるのも少し気になります。
「キャプテン翼」の翼くん・岬くんのゴールデンコンビのプレイよりも、石崎くんの顔面ブロックのような泥臭いプレイを私は望んでいます。
また私には、森保監督があえて組織的な部分にまだ手を加えていないようにも見えます。
以前の日本代表は、「個人能力が劣っている部分を補うために組織で戦う」という手法を用いていましたが、現在は個人で局面を打開できる選手がたくさん出てきています。
そのため選手の個性を最大限に活かしながら、少しずつ戦術を浸透させるようにしているように感じるのです。
それに代表での活動はチームでの活動とは違い、圧倒的に時間が足りません。
来年には、長い時間の代表合宿を行うという情報もありますので、その時に組織的な部分のすり合わせを濃く行うのではないかと思っています。
だからといって負けていい試合はありません。
残りの試合はすべて勝って批判的な意見を跳ね飛ばしてほしいと心から願っています。